ゆるやかに時の流れる安息の島、伊江島

先日、水納島で遊んだ翌々日の日曜日には、飽きずにまたしても伊江島という離島へと出掛けてきた。伊江島とは、本部半島の北西約9kmの沖合いに浮かぶ、一周約22km、人口5千人ほどの比較的大きな離島。

伊江島の地図

実は元々この島を訪れる予定はなかったのだが、ぬちぐすいで良くしてもらった人の出身地だそうで、興味を持ったので今回向かってみる事にした。

伊江島へは前回利用した渡久地港のやや南にある、本部港からフェリーに乗って約30分で行く事ができる。午前11時発の便の切符を買うと、早速船に乗り込んだ。

いえしまフェリー

今回はフェリーだけに船内は快適で、売店も完備。ここで鮭おにぎりとエッグサンドを買うとようやく、朝から悪かったShanの機嫌が直った。子供かい。。

いえしまフェリーの売店

出航後はまず、瀬底大橋の下を通過して外洋に出る。

瀬底大橋の下

そこからは伊江島を目指してただ真っ直ぐに進んで行く。これまで本島から遠く何度もその姿を見てきた、島の中心にそびえる城山(たっちゅう)が徐々に近づき、やがてその手前の港に入ると、船は旋回して桟橋に接岸。

伊江島に到着

伊江島に上陸後はまず特産の伊江牛の像と記念撮影した。この伊江牛の仔牛は全国にドナドナと売られてゆき、のち神戸牛や松阪牛といったブランド牛に成長する名牛。

伊江牛の像

その後はレンタカーショップで車を借りる予定だったが、ここで問題発生。なんと当日分の空車がなくなったらしい。。愕然としたがひとまず1.5km先の城山までは歩くと決める。

しかしこれが鬼の陽射しと坂道のため相当な苦行となった。通りがかった酒屋の兄さんに同情されるほどだったが、話すうち島のタクシー会社の連絡先を教えてもらうことに。

伊江島のハイビスカス

だが、余力のあったこの時点ではまだ歩いて城山を目指す。あながち馬鹿な選択でもなかったなと思うのは、その道すがら町の雰囲気や予定外の観光を楽しめたから。まず最初に発見したのは芳魂之塔という慰霊の碑。

実は戦時中、伊江島には日本軍の滑走路があったため、激しい戦闘の舞台となってしまった歴史がある。この日も年配の方が数名、碑に刻まれた名前を一つ一つ確認するように歩いていて、なんだか神妙な気持ちになった。

伊江島の芳魂之塔

次に出くわしたのは島村屋観光公園なる公園。Shanが受付の”冷房中”の三文字に釣られてフラフラ入ると、よほど同情を誘うような見てくれをしていたのか、中のおばさんがお茶と甘い物を出してくれた。

結局、沖縄尚学の試合をラジオで聴きながらしばし歓談。公園は悲恋の物語にちなんだ石像などが少しあったほか、生きたハブや、民具などを展示した民俗資料館も見た。

伊江島の島村屋観光公園

陽射しを避けて立ち寄った公民館では公益質屋跡を発見。沖縄戦で米軍の攻撃を受けながら原型を留めた唯一の建物で、砲撃や銃弾の跡が生々しく、当時の伊江島に思いを巡らせた。

伊江島の公益質屋跡

出てきた雲の陰を利用しつつ、さらに先へと進んで行くと、ついに標高172mの城山、通称たっちゅうの登山口に到着。これは世界的にも珍しいオフスクレープ現象でできた山だそう。

伊江島のタッチュー

だが喜ぶのはまだ早く、ここから頂上まで急勾配の階段が続く。

伊江島のタッチューの階段

元気な子供らに追い抜かれつつ何とかこれも登り切ると、簡単な柵に囲まれた頂上の狭い岩場に出る。そして、そこから見えたのは噂に聞いていた通りの視界360°の絶景。

伊江島のタッチューの頂上

伊江島のタッチューからの眺望

広がる畑の作物は主に葉タバコとサトウキビだそう。ほかにも港や市街地、遠くは本島や各離島まで全てが一望できる。地球の丸さに存分に感動してから、麓に戻り名物の伊江島アイス。

伊江島アイス

と、ここまででついに体力の限界が近づいてきたため、ようやく切り札のタクシーを召喚。電話から数分で来たのは、日産リーフに乗ったいかにもといった感じの島のおじさんで、残りの観光地点を順に周ってくれるようにお願いした。

まず最初に目指したのは湧出(わじ)という断崖絶壁。その道中には、この伊江島出身の運転手さんが、島の産業だとか地層、米軍基地のことだとか、観光ガイドも真っ青な勢いで色々な事を教えてくれる。

伊江島の湧出

この湧出はファンタジー物の映画にでも登場しそうな雄大な絶壁。海岸の岩の割れ目から真水が湧き出てくるためこの名が付いたそう。

運転手さんによると、この珊瑚礁の裂け目には伊勢海老がいるらしい。何とこの人もたまに潜って魚や海老、貝なんかを獲ってくるのだとか。自分もこの海に潜りたいと言うと、「でもサメもいるよ」と苦笑い。危ない奴か尋ねると、「そうだ。でも無視するよ」と。プロは違う。。

伊江島の湧出の珊瑚

次に向かったのはニャティヤ洞という海岸沿いの大きな洞窟。ここは戦争中、千人が隠れたという事から千人洞とも言うそう。

伊江島のニャティヤ洞

伊江島のニャティヤ洞の内部

観光客は誰もいなかったので、聴こえるのは遠く波の音だけ。ひっそりと静まり返った洞窟内を歩いていると、なんだか身を潜めた昔の人達の息遣いが聞こえてくるようだった。

その後は遅い昼食を取るため、港に送ってもらいおじさんとは別れた。観光にも付き合ってもらい、挙句ガイドまでしてもらって本当に感謝。

伊江島のタクシー

港ではターミナル2階の海人食堂という飲食店に入ってみた。そこで名物らしい伊江牛カレーと海鮮丼の大を注文。

伊江島の海人食堂

カレーは伊江牛と言う事で期待大だったが、カレーブーム到来中のShanにほとんど食べられたので、口に入ったビーフは一切れであまり違いが分からず。。

伊江島の伊江牛カレー

一方の海鮮丼はというと、これがやたらと美味しかった。。ネタは本土で食べるものと違わないのでどうかなと思ったが、ハマチやイカがくさみなく歯触りも良くてすごく新鮮。聞いてはいたが沖縄でこれだけ海鮮丼がうまいのは発見だった。

伊江島の海鮮丼

食事を取り終えると、すでに帰りの最終便の時間が迫っていたので、漁港を少し散歩してから大人しくフェリーに乗り込んだ。島にはビーチもあるそうだが、それはまたの機会にしようと思う。

凄惨な戦争の歴史と、それを慰めてくれるような美しい大自然。伊江島は、何だか沖縄そのものが凝縮されたような島だった。

海に、山に、食べ物。それに歴史や文化。本当に事前に思っていたよりもたくさんの驚きや楽しみがあるので、過疎に負けず、これからも長く発展を続けてくれたら何より。

伊江島を離れる

ゆるやかに時の流れる安息の島、伊江島」への7件のフィードバック

  1. SAWA

    遠く彼方の伊江牛がそんな経歴をもっていたとは!
    やはり島は外界からの干渉が少ない分、戦争の傷跡ひとつ見ても
    当時の悲惨さがより凝縮されて迫ってくるような気がする。
    しかし伊江島ってもっと観光地化されてるのかと思ったが
    意外とそうでもなさそうやね。

    城山といっても、尾張旭にある城山公園とは全く違うなぁ。。
    こんな美しい景色が見れるなら、1.5kmぐらい軽く歩けるわ♪
    しばらく沖縄は雨っぽいけど、残りの時間満喫してくださいな (´▽`)y-~~

    返信
    1. ari.d5233 投稿作成者

      観光地化されすぎ、ということはなかったよ。
      ターミナルが不釣り合いに大きくて綺麗だなと思ったくらい。
      運転手の人いわく米軍基地があるから、
      大きな建物は防衛省が建ててくれるらしい。
      観光地化というよりはその辺の絡みかな?

      日曜のわりに観光客もそう多くなかったし、
      まあどこもゆっくり見られる感じだったわ b
      そのくせレンタカー尽きるとかわけ分からんけど。。
      とりあえず帰ってどっちが暑いか興味津々だわ〜

      返信
  2. ちゃん

    船の売店の元気なおじさんと写真撮ればよかったね。。
    鮭おにぎりおいしかった☆

    あの「冷房中」の売店は砂漠中の水みたいだった!
    エアコンってすごいね!(。◕ ∀ ◕。)

    返信
    1. ari.d5233 投稿作成者

      あの、、話が売店のことばっかなんだけど。。。

      でも伊江島ツアー、なかなか楽しかったね!
      また来年も沖縄いけたらいいねぇ~

      返信

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