いつも利用する短期の物件は規定で引越し予定日の1~2週間前にしか部屋を押さえられない。今回の北海道行きが決定したのはそんな契約の本当に直前で、それまでは近場の静岡で富士山でも眺めながらのんびり過ごそうかと考えていた。
なので札幌の部屋と決まってからは妙に気忙しかったが、北海道で増える荷物といっても実際には冬物衣類くらいなので、結局いつもと変わらぬ出で立ちで先月末に川崎を出立した。当日はまず東北道を一路北上し、那須高原SAで最初のピットイン。
このルートは昨年夏の東北行でも使っているだけに何だか思い出深い道。休憩後はそんな懐かしさから東北道を少し外れ、去年住んだ山形市にちょっと寄り道してみることにした。
昼飯は当時よく通っていた一寸亭の冷たい肉そばを堪能。味はもちろんのこと、店員のお姉さんの山形弁がまた懐かしすぎた。
食後には久しぶりに軽く山形市内のドライブへ。街は8月初めの花笠まつりを前に早くも提灯などが飾りつけられていて、祭り当日の賑やかさが目に浮かぶようだった。
以前の家、それに出入りの際にいつも眺めていた家の裏の千歳山なども、変わりないに決まっているのにこれまた確かめに行ってきた。何だか達者だった旧友と再会したような心境に。
とまあ何気に一度住んだ街を再訪するのは初めてだったので感傷に浸ってしまったが、その後は再び進路を東北道へと戻し、出羽の山々の深い懐を走り抜けること数時間。岩手山SAで再度の休憩タイムを取った。
この辺で既に陽は傾いていたものの、この日の道程は恐ろしいことにまだまだ道半ば。給油と食事を済ませて東北道、さらには八戸道をひた走る。そして青森県内の一般道に入ると、今度は道がどんどん暗くなり、周囲に車の姿もなくなって何だか不気味な雰囲気に。
途中、オレンジ色に照らされた六ヶ所村の表示が何やら怖い感じだったが、なるほどこういう場所にあるんだなと妙に納得もした。エネルギー研究も悪くはないがこの日はそそくさと通過し、暗闇に包まれた下北半島の太平洋沿いをまだまだ北へと上ってゆく。
すると次に頭上に見えてきたのは「この先、恐山霊場」の標識。恐山といえばイタコが死者を呼び寄せるとかいうあれか。。しかも街灯が青とか凄い恐怖効果なんだが、青森だけに青い森にしたかったならとんでもない間違いだ青森県。。
他にも普段まず見ないカラスの亡骸が道端に落ちていたり、仏ヶ浦だとか賽の河原だとかあれな地名が続いたりと、この辺はかなり精神的にくる場所だったが、恐れおののくShanをなだめつつ何とか走っていると半島中部のむつ市に入った。
ようやく人間世界に戻った感もあったが、それも束の間、下北半島の北端を目指してすぐさま再び山道へ。しばらく走るとまたおかしな事に、先に見える山々の向こうの空が薄らと明るい。深夜に陽がある訳もなく、向こう側には海しかないだけにこれまた不気味。。
しかしこれは山を越えると正体が判明。どんどん明るくなる光の源は、見渡す限り海に広がるイカ釣りの大漁船団だった。初めて見たこの光景は下北の恐怖とともに脳裏に焼き付くことに。
その後はついに初日の目的地である大間のフェリーターミナルに到着。翌朝の出航に備えて仮眠を取った。車の積み込み開始は6時半。少し早目に受付を済ませ、マグロダミーと記念撮影。
大間から函館までの航海は約1時間半。霧が多かったが、気にせず寝て意識が戻るといつの間にかもう函館に着いていた。
函館からは道央自動車道で札幌を目指す。その距離だけでも東京~名古屋間くらいあるので、さすがに北海道の巨大さを実感した。
札幌に入るといつも通り鍵の受け取りを済ませ、部屋に入って荷解きを完了。夕方まで寝た後は恒例の買い出しに行ってきた。
今回の住まいは閑静な住宅街で、車で10~15分圏内に各種スーパーや薬局、モールにアウトレットまで何でもある便利な場所。外の風は昼間でも涼しく、着いて早々驚いたのは紫陽花がまだ見頃なこと。環境的には今のところ申し分なさそうで一安心。
北海道を訪れるのは今回が初めてだが、美味い物が多いと誰もが言っていることなので、あとはゆっくりその辺の開拓に精を出しつつ、この北国の生活に慣れていけたらと思う次第。
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