富士宮外出の記録。駿府城、河口湖など

前回に続き富士宮の記録。滞在中、川崎は何度も行き来をしたが、地元名古屋にも一度Shanが電車で戻る機会があり、この日は送迎ついでに静岡市の駅前を少し散歩することにした。

静岡駅

向かったのは駅からほど近い場所にある駿府城公園。平城で櫓しかないので現在は周囲のビルに見下ろされてしまっているが、かつては7階建の恐ろしく巨大な天守があったらしい。

駿府城公園の堀

それもそのはず。この城は天下統一後に隠居した徳川家康が、大御所として隠然たる権力を振るった場所で、その大きさは当代将軍の居城である江戸城を凌ぐほどだったとか。

駿府城公園の櫓

家康は青年期に今川家の人質として、また壮年期には自身の本拠地としてこの場所で長く過ごしており、愛着も一際だったよう。天下人も晩年は思い出のある場所で暮らしたいものらしい。

駿府城公園の門

ただ、そんな天守も江戸初期には恒例の火災焼失。明治にはほぼ全ての建物が取り壊されたそうで、立派な門から城内へと足を踏み入れると、今ではのんびりとした公園が広がるのみ。

駿府城公園の城内

復元された櫓のほかに天守も再建計画があるそうだが、現時点での最大の見所はこのやたらと姿勢のいい家康像か。ただ、敷地内には緑が多く、遊具で園児が遊んでいたりと地元の人たちには親しまれているようだった。

駿府城の家康像

城見学の後は昼食のため、駅前にある静岡おでんの有名店おにぎりのまるしまへ。一見どう見てもおにぎり専門店だったが、店内に入ると机の上にはぐつぐつと煮えたおでんが登場。

おにぎりのまるしま

タネは一本一本串刺しになっていて、早速頂いてみると意外と味付けはあっさり。ダシ粉を自由にかけられるところは富士宮焼きそばと共通で、同じ静岡文化圏といったところ。

まるしまのおでん

味噌つける派の自分にはやや物足りなかったが、その辺は習慣の問題かと思う。むしろこの日のつらさは、真夏におでんを食べるというのに店内に空調がなかったという事実。今後はいくら名物といっても季節くらいは勘案しようかと思う。。

まるしまの黒はんぺん

そんな静岡行の翌週には、今度は富士宮から北上して河口湖を目指した。この時点で既に一度は河口湖~山中湖を周っていたので、この日は行き残したポイントを巡るドライブ。

朝霧高原の休憩所

当日はあいにくの天気だったものの、途中の道の駅では富士宮の特産品であるの弁当を購入して気持ちを盛り上げる。

鱒の寿司弁当

山梨側へとたどり着くのに意外と時間がかかったため、まずは早速昼食へ。この日は吉田うどんの有名店たけ川うどんが目当てだったが、店内に入って着席するとまさかの店違い。。

吉祥うどん

でんとした店構えだったのでつい間違えたが、向かいあって二つうどん店があるとは吉田市民のうどん好きも大概なもの。まあこの吉祥さんからしたらそんなこと言われてもいい迷惑だろうから、何かの縁とこちらでうどんをお願いすることにした。

吉祥の吉田うどん

硬くてコシが強いという吉田うどんは今回初挑戦。実際に食べてみると何だか名古屋の味噌煮込みうどんの麺に似ている。顎砕きなんて商品も出ているくらいなので覚悟してきたが、この硬さであればむしろ日常食に採用したいくらいの程良さだった。

とまあ腹ごしらえの済んだ後は、Shanが気になっていた着物の美術館、久保田一竹美術館を訪れた。

久保田一竹美術館

作品の展示スペースは奥まったところにあるようで、まずは庭園やショップをうろうろすることになるんだが、これがなんとなくジブリ美術館のような、着物に似つかぬ不思議な空間。

久保田一竹美術館の庭

久保田一竹美術館の外観

肝心の作品はというと、こちらは着るための着物ではなく着物をキャンバスにした”絵画”。辻が花染に独自性を加えた技法を使っているとかで、絞りが細かいのでつい近づいてしまうが、距離を取って見た方が繊細なグラデーションがより美しく見える。

作品数は多くないが、庭の見えるカフェなんかも併設されていて2~3時間ゆっくりしても楽しめそうな場所だった。

一竹庵

美術館を出る頃には天気も回復。なので河口湖畔にうち出てみると、ようやく富士山が姿を現していた。ただ、毎日家から見ている富士の方が大きいというのも富士宮暮らしの面白いところ。

河口湖の富士

そんな湖畔では河口湖オルゴール美術館なる場所も発見。予定にはなかったが、ショーが粗方終わった時間からは入場料を大幅割引しており、試しに一周してみることに。

河口湖オルゴールの森

ヨーロッパの街並みが再現されていて、中で色々なイベントをやっている感じは小さなハウステンボスといったところ。富士山の麓でなぜ欧風の街を見るのかは謎だが、ダンスオルガンや中世の機械人形オートマタなんかの展示は結構楽しめた。

オルゴールの森のダンスオルガン

その後は付近で甘い物なんかを食べ、今度は鳴沢氷穴へと向かった。ここは富士山麓にできた溶岩洞窟。

鳴沢氷穴

表示によると真夏にもかかわらず洞窟内の温度は0℃らしい。涼しい!と喜んだのは入り口までで、深まるにつれてTシャツ一枚では当然のように冷気を防ぎきれなくなってきた。

鳴沢氷穴の入り口

鳴沢氷穴の洞窟内

幸い洞窟はそれほど大きくなく、15分ほどで一周できたので腹が下るとかそういう情けない事態は回避。子供の頃、科学館の寒い部屋なんかが好きだった人にはお勧めの場所だった。

鳴沢氷穴の氷

また、鳴沢氷穴の近くには他にも富岳風穴という似たような場所がある。氷と風で何が違うかは分からなかったが、同様に大自然の営みを感じられる約15分間の洞窟探検を楽しめた。

富岳風穴

ちなみにこの風穴の周辺はいわゆる青木ヶ原樹海。自殺の名所だとかいわれるが、風穴の係員のおじさんに真偽を聞くと、「たまにあるねー」とこともなげに認めてくれた。。

青木ヶ原樹海の森

実際に見た目にも鬱蒼としており、快晴になったにもかかわらずどうも薄暗い。なんだか変な靄もかかって見える。

青木ヶ原樹海の靄

そんな場所で見つけたのが、地元愛知でたまに友人と歩いていた思い出の東海自然歩道。誰がここで楽しくトレッキングするのか分からないが、昼でも暗いと認めつつ一番魅力があると言及してしまうあたりに歪んだ愛を感じてしまう。。

東海自然歩道の看板

といった感じでこの日も終了。その翌週にはついに富士宮退去の日を迎え、秋からは現在の横浜暮らしとなった。当初はやや繋ぎといった意味合いもあった富士宮生活だが、結局何かと思い出深い滞在になったように思う。

富士宮の富士

翻ってこの3月は確定申告や年金保険の調査など、書類作成や手続きなんかに追われていた。ただその辺も今週中には片付く見込みなので、当面は晴耕雨読というのか、まあ本を読んだりなどしつつのんびり過ごしていようかと思っている。

富士宮外出の記録。駿府城、河口湖など」への2件のフィードバック

  1. SAWA

    静岡おでん行きましたか。
    味噌よりもダシ派の自分にとってはこちらの方がシックリ来る感じ。
    好みは家庭によってまちまちですなぁ~
    そもそも静岡おでんは地元では子供のおやつ的な存在なんだとか。

    山本屋の味噌煮込みうどんが好きな名古屋人にとって吉田うどんはそのパクリ?
    と思ってしまうほどコシがあって、これがまた最高!
    個人的には非常食ではなく毎日食したいぐらいの代物だったわ。。
    キンピラを使うのはこの地域の定番らしいですな!

    河口湖はお気に入りの宿があるので4~5回泊まりに行ってるが、
    風穴や氷穴は入り口まで行くものの中まで入ったことはなく。。
    とりあえず途中でトイレに駆け込むようなことがなくてよかったわ。
    夏場でも余裕で避暑地になりそうな感じですな◎
    このあたりは芝桜が富士と絡まってキレイなので、5月あたりに是非再訪してみて!

    しかし青木ヶ原樹海。磁場が狂うせいで自殺名所のレッテルが貼られたんだろうか?
    昔は東海自然歩道として多くの人が利用していた道だろうから、なぜそんな
    イメージが付いてしまったのかちょっと気になる。
    東海自然歩道の散策として誘われても困るが、別の場所なら喜んで行きますぜ♪

    返信
    1. ari.d5233 投稿作成者

      最近何かとバタバタしていて遅くなりました!
      静岡おでんはこの日が初めてだったけど、
      確かに相席した向かい側には子供がいたな。
      串にささってるあたりも子供が食べやすいように配慮したのかもしれんね。
      富士宮焼きそばも”駄菓子屋系”とか呼ばれる系統があって、
      元々駄菓子屋だったところで焼きそばとかお好み焼きを出してたらしい。
      ちょうどこのまるしまみたいに狭くて古い昭和の昔から続くような店で、
      腰の曲がったおばあちゃんが頑張ってやってたよ。
      静岡ってこういう感じが今も残ってるんだねぇ。
      それに吉田うどんも初だったけど相当うまいね。やっぱり旅は食べ物ですわ。。

      芝桜は会場の前を何度か通ったよ!
      季節が違うから行けなかったけど、何度も見させてもらってたから
      ここかあーって気持ちだけは浸ってたよ笑
      名古屋からも神奈川からも静岡は近いから確かに一緒に行けるかもしれんね。
      機会あればまた車山に続く男ばかりの旅第二弾と行きますか b

      返信

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