前回SHANが書いた日の続きになるが、この日は舞妓体験の後半から自分も合流した。
話に聞いていたMさんとは初めて会ったが、今回成り行きから舞妓状態で会ってもらうことになり、何だかちょっと面白い感じの初対面になった。変身を解いた後に、あらためて二度目の「初めまして」
彼女は夕方には新幹線で東京に戻る予定だったので、舞妓体験の終わりの自由撮影を済ませた後は、手短に近場でちょうど紅葉が見頃だった金戒光明寺へ。
車で程なく到着すると、山門は修復の真っ最中。そこから続く幅の広い石段をしばらく登ると、広々した境内に出て、正面には御影堂が見えた。
この金戒光明寺は格式ある浄土宗の大本山の一つ。幕末には京都の地理的な要衝に当たるということで、京都守護職の会津藩がここを本陣にしていたらしい。
参観料を納め、その御影堂からお堂の中に入る。陽気なお坊さん?の解説で襖の虎の絵なんかを見て、そこから裏手の方へと回ると、綺麗な庭園に出た。
敷き詰められた真っ白な砂利と苔の緑の対比が印象的。そこに紅葉の鮮やかな赤が挿し色っぽく入っている。脇の方にはかわいらしい庵がちょこんと配されていた。
中央にある池の周りにも、小ぶりだが程よく色付いた紅葉。小綺麗な庭と調和が取れていて、なかなか良い感じだった。しばらくの間、記念撮影なんかをしつつぶらぶら散策。
そして一周した後は、時間になったので京都駅へと向かった。だがその途中、三条のあたりからひどい渋滞に巻き込まれ、車が全く動かないので、結局、祇園四条の駅で見送ることに。一日SHANも凄く楽しんだよう、Mさん本当にありがとう!
その後、岡崎公園向かいの山元麺蔵で夕食のうどん。食後には時間がまだ早かったので青蓮院門跡に行ってきた。名前が格好いいというかなり軽い動機で行ってきたが、実際にはこの季節、庭園の青色ライトアップが有名な場所。
車は祇園近くの駐車場に停めて、入口までは歩いて向かった。知恩院の立派な山門を過ぎ、瓦葺の塀沿いに進んでいくと、途中からライトアップされた真っ赤な紅葉が見える。
青蓮院の入口に着くと、その脇には巨大な楠の木があった。物凄い大きさと存在感で、複雑な形の枝や根はまるでモンスター。天然記念物らしいが、妖精化してると言われても納得できそう。
楠をしげしげと観察した後はようやく青蓮院の中へ。ここは比叡山延暦寺の僧侶の住居があった場所らしいが、灯りに浮かぶ夜の寺というのも独特の雰囲気がある。そして宸殿にてその有名な青色ライトアップを鑑賞。
苔の庭に一面青色の電飾。蛍のような弱めの光。実物は想像以上に紅葉とは何の関係もなかった。これは仏教世界の宇宙を表現しているのか?なんて、適当なこじつけ解釈をしながらぼんやり眺めていた。
その先にもなかなか風流な庭園の山水が広がっていて、ちゃんと紅葉のライトアップにも出会うことが出来た。竹林まで光っていたのは予想外だったが、サイバーパンクな感じでこれも何だか格好良かった。
青蓮院を見終えた後は、帰り道に知恩院にも寄り道。寄り道とか言っているが、ここも法然開基の格式高い寺院。この時期にはライトアップも楽しむことができる。まずは昭和の名園だという友禅苑からチェック。
正面にある知恩院の巨大な三門は圧巻の迫力だった。遠目に見ても何か凄いのがあるなという感じだったが、徳川二代将軍秀忠が建立した古いものらしく、現存の木造建築として国内最大の二重門だという。
拝観料のみでこの三門には登ることが出来る。かなり急な階段を上がると、京都の夜景が広がっていた。二階内部は国宝の仏像が多数安置されていたが、夜の暗がりの中で見ると何だかどれも凄みがあった。
中央の御影堂は改修中のため飛ばして、その右手から坂道を登り大鐘楼へ。日本三大名鐘。これだけでかければ108の煩悩も容易に打ち砕けそう。
夜間の公開は境内の一部のみだったが、紅葉も残っていたし、見所の多い良いお寺だった。
京都に来てもういくつ寺を見たか分からないが、このままだと悟りの一つでも開きそうな勢いになっている。まあ実際に今年の後半は心の安定をテーマにやってきたわけで、宗教的な信心こそないが、何らかの好影響はあったかもしれない。
心とかいうと何だか怪しげな話にも聞こえるが、培った知識や技術を、磨きも、晦ましもする本当に厄介な存在。かつて人生をかけて求道してきた古都の先達たちにあやかり、そんなとこを京都での一番の土産にできたら何よりかなと思う。