長崎旅行二日目。軍艦島、島原城

前回の続きとなるが、長崎旅行の二日目は最近人気の軍艦島上陸ツアーに参加することにした。軍艦島は正式には端島(はしま)という昭和期に炭鉱業で栄えた島で、今年5月には九州山口近代産業遺産の一つとして世界遺産の登録勧告も受けている。

また、1974年の閉山後は国内屈指の廃墟としても有名で、九龍城砦などのカオスな建物が好きな自分としては外せないスポットだった。島への上陸は2009年に一部解禁され、今ではこういったツアーが盛況を博すようになっている。

軍艦島コンシェルジュ

当日は朝10時前に長崎港内のターミナルに集合。上陸用の高速船は定員百数十名と見られたが、さすがの満席御礼となっていた。

軍艦島コンシェルジュの船

早い者順のデッキ席は競争に敗れて確保できなかったが、船内の方が紹介映像をゆっくり見られたのでむしろ良かったかもしれない。出航時間になるとまずは船窓より、震災後の電力を支えている最新型のLNGタンカーが見えてきた。

LNGタンカー

続いて目を引くのは三菱重工の造船所。明治初期には官営だった長崎造船所を、三菱の岩崎弥之助が買い取った。作りかけの豪華客船が見られるのは長崎ならではなんだとか。

三菱重工の造船所

港と外洋の境界には女神大橋が架かっている。水面から非常に高い場所を渡してあるため、世界最大級の客船も通行可能なんだそう。その辺を徹底したせいか、橋の厚みもなんだか薄い。

女神大橋

途中、伊王島で乗客を拾うなどして航海すること約30分。いよいよ外洋に浮かぶ廃墟の島、軍艦島が見えてきた。

軍艦島の東側

周辺にいくらかある緑の島々と比べると、コンクリートで固められた軍艦島の異様な姿はかなり際立っている。船はすぐには接岸せず、まずは反時計回りに周回し島の遠景を確認。

軍艦島の北側

軍艦島の社宅群

この西側から見た姿が軍艦土佐に似ているということから”軍艦島”の異名がついたそう。どんぶらどんぶら波で揺れるものだから写真は厳しかったが、数撃てば当たるで何とか収める。

軍艦の姿

その後はドルフィン桟橋という船着場から実際に上陸。昔仕事でこの島に通っていたという初老のガイドさんに続いて一行は進む。

軍艦島の船着場

上陸したツアー一行

第一見学広場から見えるのは当時の仕事場。操業当時は左に工場、右にベルトコンベアーがあり、中央には採掘場や貯炭場があったそう。奥の大きな建物は小中学校だが、屋上が壊れているのは今年の台風のせいだとか。

軍艦島の職場と小中学校

島中央の小高い丘の上には貯水場と灯台が見える。その右手の建物は炭鉱会社の幹部の社宅。上陸すると思いのほか草木が多いが、ガイドさん曰く、鳥によって運ばれた種が発芽し、長い時間をかけて「自然に還っている」のだそう。

軍艦島の貯水槽

第二見学広場に進むと事務所や会議所の跡も見える。ここでは作業用のヘルメットをかぶって記念撮影をさせてもらえた。

軍艦島の会議所

軍艦島の会議所近く

最後の第三見学広場で見られるのは最も気になる社宅ゾーン。右の30号棟は1916年に造られた日本初のRC造マンションで、建築物の経年劣化に関する研究対象としても貴重なんだとか。

日本最古のRC造マンション

この向こうには約70棟の社宅が所狭しと立ち並び、最盛期には世界一の人口密度を誇っていた。映画館やスーパー、寺や浴場など様々な施設が置かれ、今でも病院には点滴の瓶が転がっていたりするんだそう。

日本最古のRC造マンションのアップ

ただ、安全性の問題から立ち入りは禁止されており、ツアーはここでの解説をもって終了。肝心な場所に入れない感はあったが、風化の進む軍艦島を今のうちに見ておけたのは良かったと思う。

戦時には強制徴用など負の歴史も持つ島だが、だからこそ世界遺産となってぜひ記憶を繋いでいただきたい。登録後は予算もアップすることだろうから、今後の保存活動にも期待したいと思う。

軍艦島を後にする

帰りはしっかりとデッキ席に陣取り、長崎港へと戻った後は遅めの昼食。前日にちゃんぽんと海鮮を食べていたので、この日は思案橋の喫茶店ツル茶んでトルコライスにした。

ツル茶ん

トルコ人に「トルコにこんなものない」と一刀両断されていたトルコライスだが、ヒレ肉にヨーグルトソースなど本場のトルコ料理を取り入れたトルコ風アレンジ版は意外と良かった。

ツル茶んのトルコライス

食後は定番の文明堂の一口カステラで口直し。

文明堂

その後は夕方の船で熊本へ帰るため、島原港を目指して1時間半ほどドライブした。到着後は空き時間で島原城を観光することに。

島原城の石垣

ここはキリシタンの歴史や島原の乱の資料がかなり豊富。出入り口ではおもてなし武将隊のお姉さんが親切にShanに真田幸村の甲冑を着せてくれたが、兜はズレて鎧はサイズが合わず、どう見ても敗走中の足軽といった仕上がりだった。

島原城

城を見た後は船に乗り込み、長崎の旅もこれにて無事終了。Shanも楽しんでいたようで何よりだったと思う。ただ、夏の終わりまでまだまだ九州に滞在する予定だったが、私用と手続きがいくつか入ったことで今月末には川崎の方へ戻ることになった。

心残りもないではないが、必要な事をきっちりと済ませた上で、来月また仕切り直してどこかへ行こうかと思う。今年もまもなく半分が終わる。仕事の方は小さいがまた次の一歩を踏み出せているので、このまま後半戦も自分なりに淡々とやっていけたらと思う。

夕陽と島原

長崎旅行二日目。軍艦島、島原城」への2件のフィードバック

  1. SAWA

    女神大橋確かに薄いな…。でもこの無駄のない洗練されたフォルムがカッコイイ。
    軍艦島は天候に恵まれたようで、上陸できてよかったですな!
    ここは男なら窓越しでなく、甲板に出て必死に食らいついて収めて欲しかったが。。
    しかし軍艦らしさが出る角度で写真は絶妙だ。
    当事、この地で働いていた人たちは過酷な労働状況だったと推測するが、
    いまこの世界遺産登録候補をどんな心境で見守ってるんだろう。

    ツル茶んって結構有名な店だっけ?
    何でもありなトルコライスは一度食べてみたいところだが、
    今年の人間ドックの結果を受けて1ヶ月で3kg弱減ったところなんで
    小さくなった胃がもう受け付けないかもしれん。。
    でも久々にヨーグルト漬けのケバブ食べたいわ!!

    あら、一旦名古屋で用事を済ませてまた九州に戻っていくのかと思ってたが
    ひとまず退陣するわけですな。
    7/4~沖縄で集合もいいかもよ!!w

    返信
    1. ari.d5233 投稿作成者

      あの橋は地震とか来たら相当ぐにゃぐにゃしそうで恐ろしいで。。
      天気の方は梅雨直前でどうかと思ったけど、なんとか陽が出てくれてよかった b
      ただ、月末帰る日が大雨になりそうなんで別に晴れ男という訳ではない模様TT
      確かに甲板も島が見えてきたときに係員さんが出ていいよって言ったけど、
      やっぱりそこも人数制限があって、一斉に野郎どもが群がったんで再び戦いに敗れたんよ。。
      まあでも波が荒いだけで上陸不能になることもあるらしいから、
      上陸できただけありがたいのかもしれないね。

      ツル茶んは有名店っぽかったぞ。
      メニューは龍馬トルコライスとか結構やり放題な感じだったから、
      メルハバの元構成員には本場感はちょっと物足りないかも?
      沖縄めちゃくちゃ行きたいけどほんと人生はなかなか思い通りにはいかん!
      魂だけ送って参加するわ~TT

      返信

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