男鹿半島に出掛けた翌日には、有名な角館にも遊びに行ってきた。美しい桜並木と武家屋敷の写真を旅行のパンフレットなんかでよく見かける場所だが、実際にどんなところか確認すべく、先日とは逆の内陸方面へ約60kmの道のりを走った。
角館には1時間あれば到着するが、その前に日頃の運動不足を解消するため少々寄り道。角館近郊の”抱返り渓谷“という変わった名前の渓谷を訪れてみた。
情報をあまり持たずに来てしまったが、駐車場や売店のしっかり具合からはかなり有名な観光地の様子。まずは最初に見えてくる古い神社で、”抱返り”という名前の由来を確認した。
なんでもNHK大河『炎立つ』でも描かれた厨川柵の戦いの折、源氏の大将源義家は仏像を懐に抱いて戦場に向かったのだそう。その戦さを終えて無事帰還した義家が、抱いて帰った仏をこの地に祀ったことから”抱返り”の名が付いたのだという。
その神社を過ぎると次に見えて来たのは、赤い欄干が印象的な大きな吊り橋。下を流れる青みがかった川の水が美しい。
角館から約20分の場所でこんな色の川が見られるとは思わなかったが、橋を渡り、流れに沿って整備された遊歩道を歩いていくと、水の色はさらに濃いエメラルドグリーンへと変化。
いくつか橋を越え、断崖の岩穴を抜けると”回顧の滝”という滝に到達。この日は約2kmのこの地点で引き返したが、まだ先には半日くらい歩けそうなボリュームがあるようだった。
想像以上に美しい渓谷を満喫した後は、角館の町へと移動。車を停めてからまずお食事処十兵衛という店でランチを取った。
ここでは人気だという比内地鶏ラーメンを選択。醤油味のベーシックなラーメンだったが、地鶏の味はしっかりと楽しめた。ほかにはみそきりたんぽも注文。こちらはおやつにぴったりな味。
食事の後は角館武家屋敷のメインストリートへ。それぞれの屋敷の広大な庭には見上げるような大木が多く植わっていて、それが道の方までせり出して、このような景観となっている。
“小京都”とはいえこの緑豊かな感じは京都や金沢とはまた異なる趣き。気ままに雰囲気のある屋敷に入っては縁側で休憩した。
樺細工伝承館では少し退屈そうにしていた職人さんに話を聞き、青柳家という有料の屋敷では武具など先祖伝来の品々を拝見。
通りの端にある平福記念美術館では、ちょうど開催中だったスタジオジブリの原画展も見た。映画で使われた背景画は、今まで見てきたこの東北の景色を思わせるようなものばかり。
帰り際には先日初めて知った秋田名物、ババヘラアイスも初体験。道端でパラソルを立てて売っている姿は高知や沖縄のアイスクリンを彷彿。ババアがヘラで作るから”ババヘラ”なんだそうだが、実際に売っていたのも人の好さそうなお婆さん。
一つお願いすると器用にヘラでアイスの薔薇を作ってくれた。「これならバラアイスの方がいいんじゃないですか」と言うと、笑って「子供が覚えやすい方がいいんだよ」とお婆さん。ババヘラアイスの半分は優しさでできているようだった。
ちなみにこの間気づいたんだが、実は秋田へ来てからまだ一度も秋田犬を見ていない。これが超愛猫家の秋田県知事の陰謀なのかは現時点で不明だが、観光戦略として確実に押し出し不足。
このままではとても帰ることはできないので、遠いがまた折を見て大館市にあるという秋田犬会館にでも行ってこようかと思う。
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