兵どもの夢の跡。日帰りで平泉、盛岡

長い梅雨がなかなか明けず、この土日もぐずついた天気だった秋田。空がこうでは白神山地のような大自然を見に行く訳にもいかず、一昨日はいっそと隣の岩手県まで足を伸ばしてみた。

目的は世界文化遺産にも登録されている奥州藤原氏の遺跡群。秋田市から遺跡のある平泉までは150㎞ほどあるが、秋田道→東北道と大半が高速で済むので日帰りはラクにできる。

前日遅くまで映画を見ていたので出発が遅れたが、昼前には現地に到着しまずは昼食。大夫黒という一見カフェ的な店に入った。

大夫黒

“大夫黒”とは源義経の愛馬の名だが、この平泉は奥州藤原氏三代藤原秀衡の庇護の元、義経が青年期の6年間を過ごし、またその最期を迎えた地でもある。ただ、料理の方は馬とは関係なく、三陸地方の新鮮な魚介が売りなのだそう。

大夫黒の三色丼

大夫黒の海鮮天丼

岩牡蠣が切れていたのは残念だったが、注文した三色丼は予想以上に美味かった。海鮮天丼も大きな海老や白身魚などミニ丼とは思えない量でShanも大満足。やはり太平洋も捨てがたい。。

食事が済むとまずは有名な中尊寺を訪れた。中尊寺といえばやはり金色堂。金張りの建築物といえば、金閣寺や秀吉の黄金茶室、それに金沢では金箔トイレなんかを見てきたが、今回はどうかと期待をしつつ、雨の中、傾斜のある参道を登った。

中尊寺

参道には金色堂だけでなく、本堂や弁慶堂など、他にもいくつもの御堂が並ぶ。奥州藤原氏の時代は12世紀まで遡るので、さすがに江戸期などに再建されたものが多い。

中尊寺の弁慶堂

中尊寺の本堂

この讃衡蔵というコンクリート造の宝物館は、金色堂とセットで見学は有料。5mほどある平安時代の大きな仏像や、紺地の紙に金色で綴られた美しい金字経は一見の価値あり。

讃衡蔵

そして讃衡蔵の先の小高い場所に立っているのがお目当ての金色堂。といっても見えているのは防護のための覆いの建物で、金色堂はこの中にすっぽりと入りこんでいる。

金色堂の覆い

内部の撮影は禁止だったが、その様子はパンフレットの画像にて。金色堂の実物はサイズこそ想像よりも小さかったが、その美しさは「単に金箔です」という枠を完全に超えたものだった。

中尊寺金色堂

輝く金に対して緑青象牙紫壇の落ち着いた色調。仏像の美しいフォルムに、技術の粋を集めた螺鈿蒔絵の精緻な装飾。奥州藤原氏の栄華は源頼朝によって約百年で終止符を打たれるが、金色堂はその平泉文化の確かな証として燦然と輝いていた。

その後は近くの高館という丘陵にある義経堂を訪ねた。ここは当時義経の居館があった場所で、四代泰衡に攻められ最期を迎えたともいわれる場所。現在は小さな御堂に木像が祀られている。

高館義経堂

かつて松尾芭蕉は奥の細道の旅の途中、まさにこの場所で『夏草や兵どもが夢の跡』と詠んだ。悠然と横たわる北上川と夏草に覆われた大地は、芭蕉の見た光景と今もそう変わらない。

高館からの景色

高館の後は柳之御所という藤原政権の政治の中心であった場所へ。現在は史跡というよりも発掘現場で、資料館でいくらかの出土品を見ることができるのみ。

柳之御所資料館

他に達谷窟毘沙門堂という御堂も見学。ここは征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷征伐の記念に建立したのだそう。ただ、火災のため建物自体は昭和の再建。崖の壁面には源義家ゆかりの磨崖仏もあるなど結構見所あり。

達谷窟毘沙門堂の鳥居

磨崖仏

その後は平泉を後にして、岩手の県庁所在地である盛岡市へ。

中津川

夕食は本来なら盛岡冷麺でも食べるところだが、有名なぴょんぴょん舎の支店が川崎にもあるので、今回は大人気らしい”盛岡じゃじゃ麺“に挑戦。店は元祖だという岩手公園前の白龍

岩手公園前の参道

白龍本店

古くて狭い店内は6時前から混雑しており、旅行中のカップルと相席になった。とりあえず定番のじゃじゃ麺を中と小で注文。

じゃじゃ麺

早速食べてみるとミソの味は通常のジャージャー麺に結構近い。ただ、麺が太くて柔らかくほぼうどん。そのままだとなんだか締まらない味だが、ここのしきたり通り辣油、醤油、ニンニク、酢などを好みで加えるとなかなかいけた。

ちーたん

ほぼ完食すると、ここで店員さんがスープいかがですか?と聞いてくる。お願いするとその皿に卵とミソを投入して”ちーたん”なるスープにしてくれた。口直しと栄養バランスを考えてのことだろうか。もちろんこれも全部頂いておいた。

盛岡の交差点

その後は暗くなるまで盛岡城址公園や歴史文化センターを散歩してから帰宅した。平泉では悠久の時の流れを感じ、盛岡ではご当地B級グルメに舌鼓。なんだかまとまりのないコースではあったが、岩手はまたぜひさんさ踊りの際も再訪したいと思う。

兵どもの夢の跡。日帰りで平泉、盛岡」への2件のフィードバック

  1. SAWA

    車で15分ほど走って小牧空港から空を飛んでしまえば1時間足らずで
    行ける距離なのに、なぜこれほどまでに遠く感じるんだろう。。
    現実は制約も多く、飛行機に乗るなんざぁ夢のまた夢 orz

    雨の日ということもあって中尊寺の緑が映えてますな!
    芭蕉がこの地で詠んだ一句にも納得。
    B級グルメはやはり間違いがなさそうだね。
    ちーたんというスープは飲んだ後にも優しく胃を保護してくれそう♪
    この味噌はやけに黒々してるが、黒ゴマでもすり潰してあるん?

    返信
    1. ari.d5233 投稿作成者

      実際、秋田ぐらい来るとだいぶ遠くまで来た感じはあるね。
      えらく遠くから東京とかのニュースを眺める感じ。
      でもこういう場所も結構居心地いいんだなあー

      食べ物はイタリアンとか中華とかインドとか、
      川崎にもあるようなものは全部避けるので、
      ほぼご当地B級グルメと郷土料理になってくるね。
      そういえばラゾーナに仙台牛タンの利久も入ったそうな。
      名古屋にはなさそうなんで、21日~の出張のとき一緒にいかが?

      返信

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